54-55期活動テーマ(井上会長所信表明)
テーマ
『われわれは、これから再び強くなる』
〜地域活性化を通して、地域に愛される企業になろう〜
基本方針
我々は、今、未曽有の危機に直面しています。
2011年3月11日の東日本大震災によって、東北・関東地方は大きな打撃を受けました。また、それに伴う福島原子力発電所の事故により、放射能漏れが起きたことによる様々な影響、その後も続く大きな余震、また、東京電力管内の電力供給不足による計画停電の実施や自粛により、観光業、飲食業などをはじめ様々な業界に与える影響は計りしれません。
ただ、震災直後は、津波被害の映像を繰り返し見せられ、地震の揺れを体験し、予定されていたイベントなど、ハレの場に出る心持ちにならなかったことも事実です。
大震災から2カ月以上経った今、ようやく、固くなった心が解きほぐされ始めている気がします。
しかし、まだまだ、被災地は復興への緒についたばかりです。
その地域の方々だけで、なんとかなる問題ではありません。有形無形の支援が必要です。特にわれわれにできることは、無形の支援、心の支援でしょう。
イルカは、心身症の子どもの固くなった心を、自らも知らず知らずのうちに治すことがあります。われわれも、イルカのような無償の愛、そんな思いやりある行動が必要な時だと感じています。
私が、緑友会のイベントに初めて参加させてもらったのは、1992年に横浜で開催されたセミナーでした。
1996年のやまなし大会では、実行委員長を務めさせていただきました。その後、情報ネットワーク推進委員に任命していただいたこともあり、沖縄県印刷若潮会さんを皮切りに、各所で講演させていただきました。
そのお陰で、全国にたくさんの仲間を作らせていただきました。
今回の震災では、その有り難さを実感しています。
すべての被災地に仲間がいることで、その被災を他人事としてではなく、自分のこととして感じられると思うからです。
テレビから流れてくる映像を見るたびに、あの人はどうしただろう、、あの家族は、、、 自然と涙が溢れてきました。
まずは、被災された方々の一日も早い普段の生活への復帰をお祈りすると共に、たくさんの亡くなった方々の御冥福をお祈りします。
私たちが生かされているこの時代は、とても変化に富んだ時代です。
何百年に一度、と言われるような大きな変革が、様々な分野で起きています。
それは、我々印刷の業界も例外ではありません。
パーソナルコンピュータに代表されるITの普及、インターネットを利用したネットプリントの普及、そして市町村合併に代表されるような、効率化という名の市場のシュリンク。
印刷業の方、様々な資材を供給してくださる方、製本業の方、製版業の方、デザイナーの方、広告関連業の方、すべての業種の方々が生まれ変ろうとしています。
その一方で、今回の震災の影響で、印刷用紙や印刷インキの供給は、とても不安定な状態が続いています。
このまま仕事を続けていけるのだろうか。そんな、根源的な心配さえよぎります。
しかし、そんな時代に、業種も年齢も育った地域も目指すところも様々な我々が、一堂に会することができることに、とても、大切な意味があると感じています。
そんな我々は、先人が作った大きな歴史を守り、新たな歴史を創っていくことができると信じています。
これからは、もっともっと多様化が求められる時代が来ると思います。
全国印刷緑友会は、そんな多様なものすべてを受け入れられるような、大きな器を保った寛容な会でありたいと感じています。
こんな時だからこそ、委縮せず、まずは今までどおりのイベントを今まで以上に明るく元気に開催していきたいと思います。
より具体的には、作道会長時代のテーマである、『印刷を通して地域で愛される企業づくり』を継承し、更なる進化をさせていきたいと考えています。
人間の子孫であるホモ・サピエンスは、人類史上始めて「言葉」を獲得した、その「言葉」を通してコミュニケーションができたため、生き残った。一方、ネアンデルタール人は獲得できなかったために絶滅した、とされている。
その子孫である人間という生き物は、人と人との結びつきが、生きることの基本と言ってもいいでしょう。
我々印刷業は、そんなコミュニケーション社会で、地域のコミュニケーションのハブ(中心)になれると感じています。
今までの業態の中で培ってきた要素を新しいフィールドで活かしましょう。
地域(行政)が、我々に何を与えてくれるかではなく、我々には何ができるのかを考えて、考えて、考え抜いていきたいと思います。
昨年までの活動で、色々なヒントが見えてきています。
大阪青年印刷人クラブで行われたインターンシップ、広島青年印刷研究会の印刷産業夢メッセでのセミナー、札幌青年印刷人の会のグルメマップ、会全体で取り組んだリサイクルブックエイドへの協力など、ここですべてを上げることはできませんが、一つ一つが貴重なものです。
これからは、それらの取組を通して地域が元気になることで、気持ちが動き、人が動き、モノが動くように、あきらめずにやり続けることだと思っています。
長い長い文章になってしまいました。
でも、最後に、もう一つだけ言っておきたいことがあります。
未曽有の事態と言うことは、今までには想像もできなかった現実があると言うことです。
それは、我々のようなフロンティアスピリットにあふれた青年にとっては、絶好のフィールドが広がっているということでもあります。
この素晴らしい時代を心から楽しみましょう。
全国印刷緑友会という仲間がいる限り、どんな試練も、必ず乗り越えられると信じています。